前川文夫博士は日本の植物区系を論じるさいに、この地域を「フォッサ・マグナ地区」として区別し、そこに特有な植物を「フォッサ・マグナ要素」とよんだ。
フォッサ・マグナ要素の植物には岩場、風衝地、ガレ場、渓谷、海岸など、条件の厳しい環境に生育し、周辺地域に近縁な植物が分布しているケースが多いので、第四紀の激しい気候変動のもとで分化した、比較的新しい種類と考える説が有力である。
しかし、サンショウバラのように近縁のものが遠く中国大陸西南部に隔離分布しているものもある。
この場合は連続して分布していたものが、ほかの地域では絶滅してしまい、この地域だけに遺存したと考えられる。
フォッサ・マグナ要素の植物の起源は単純なものではないようである。